10 BABYMETAL Legends - Legend II
「新しいメタル」の誕生
The birth of “new metal”
メタルの聖地、目黒鹿鳴館
The holy land of metal - Rock-May-Kan
2012年7月21日、東京・目黒鹿鳴館は爆発寸前の状態にあった。7月7日大阪・難波 ROCKETS、7月8日愛知・ell.SIZE で開催した大阪・名古屋ツアー「ヘドバ行脚ー!!」を経てたどり着いた、BABYMETAL 初の目黒鹿鳴館ワンマンライブである。
目黒鹿鳴館といえば、先代のレジェンドバンドたちの登竜門として、さまざまな伝説が生まれた、日本における象徴的なメタルの聖地である。メタルダンスユニットである BABYMETAL としては、メタルという名の下において、メタルマナーは無視できない。目黒鹿鳴館のステージに立ち、叩き上げで成り上がっていくストーリーがここから始まるということに、とても意味を感じ、新たな伝説の幕開けに心を奮わせていたのだ。
「ヘドバンギャー!!リリース記念ライブ」(昼の宴)、「LEGEND ~コルセット祭り」(夜の宴)という2回公演で、今から考えるとかなり実験的な内容であった。「ヘドバンギャー!!」のミュージックビデオに出てくる棺桶やコルセット、ステージ上にスピーカーを積み上げるマーシャルタワーなど、ルーツを知っている人は思わずニヤリとしてしまうようなメタルオマージュを象徴的なアイテムとして取り入れていた。
このイベントは、「ヘドバンギャー!!」の初回盤購入者を対象に実施され、当選者は初回盤に付属していたコルセットを着用しないと入場できないというドレスコードが設定されていた。駅から会場へ向かう坂道の途中、首にコルセットを巻いた人たちがズラーッと並んでいるという異様な光景が広がり、エントランスではキツネ様より造わされた骨の番人がコルセットチェックなるセキュリティーチェックを丁寧に行っていたのだ。
運良くキツネ様に選ばれたオーディエンスによって会場はパンパンに膨れ上がっていたが、BABYMETALという未知なる生物との遭遇を目前にして、また全員が首にコルセットを巻いているというこれまでに誰も見たことがない光景も相まって、興奮のボルテージは極限まで上がっていく。
いよいよ新たな伝説の幕が開き、目黒鹿鳴館という凝縮された空間の中で放たれる BABYMETALのメタルのパワーは、至近距離からオーディエンスを直撃した。新たなメタルとの遭遇がトリガーとなって、オーディエンスの初期衝動は熱気を帯びながら会場の中で渦を巻き、その熱狂が再び熱風となってステージ上に跳ね返ってくるという、メンバーにとってもオーディエンスにとっても過酷な状況の中、ライブは駆け抜けていった。
思い返してみると、粗削りで実験的な試みも多かったのだが、紙芝居と呼ばれるストーリームービーの原点となる映像や、会場キャストとして骨バンドのメンバーが携わっていたなど、のちのちのBABYMETALのライブの軸となる要素はすでに備わっていたのだ。
「諸君、首の準備はできているか?」
オープニングムービーでは、ストーリーとともにライブの幕開けが告げられ、ステージの幕が開くと駆け抜けるように一瞬にしてパフォーマンスを行い、MCもなくあっという間にメンバーはステージを去るのだ。メンバーがステージを去ったあと、再びムービーによって、新たなストーリーとともにサプライズで次回予告が告げられたのだ。
BABYMETALは照明演出として、「赤」「青」「白」の3色をベースにしている。これは目黒鹿鳴館当時から現在でも変わらない。
ライブハウスは付帯設備のアナログ照明で、赤、緑、黄色、オレンジ、ピンクといった、さまざまな色の照明を混ぜて使うことが多い。少ない機材ゆえに色数を増やし、派手に見せようとすることが狙いだと思うが、ワタクシ的に、BABYMETALの照明は足し算よりも引き算という考えがあり、そぎ落とした上で、点よりも面を作ることを重視している。赤だったら、さまざまな赤のレイヤーで真紅の世界をつくっていくようなイメージである。色数に加え、同時に三つ以上の色を混ぜないことも意識していた。例えば、Aメロは全部赤でいって、Bメロは全部青でシーンを変え、サビで真っ白な世界を見せる、というような感じである。
ワタクシは BABYMETALのすべての楽曲制作に携わっているが、原石の段階からライブを想定した曲構成で、会場のリアクションを想像しながら作っている。そのとき、同時に音にシンクロさせた照明のイメージも見えていたりするのである。時を経て、会場の規模感もアリーナクラスになってくると、照明以外にもレーザーや電飾などライブハウス以上にたくさんのサポートを受けて、モデリングをしながら建築の設計図を描いていくように世界観を構築していく。「この曲が伝えたいテーマ」「曲を作っている初期段階から狙っていたイメージ」など、ワタクシからそれぞれの楽曲のテーマやイメージをチームと共有し、それをベースにスペシャリストの方々が匠の技でアイデアを膨らませる。その一連の作業によって、音と光が瞬間的にシンクロし、一瞬にして BABYMETALの世界を作り上げることができるのだ。この方法は目黒鹿鳴館でも東京ドームでも基本的に変わることはない、決して他者に丸投げすることはなく、100%ブレることはないのだ。
初めての目黒鹿鳴館のライブは、その後のBABYMETALの軸となるアイデアの実験場となったわけだが、同時に日本のメタルシーンを確立した数々のメタルレジェンドへのリスぺクトも込められていた。今では BABYMETAL が初めてワンマンライブをやった聖地として、目黒鹿鳴館を目指す女性グループが増えているという話を耳にしたことがあるが、後世に語り継がれる伝説の幕開けにふさわしい、記念すべき最初のLEGEND となったのだ。
On July 21, 2012, the Rock-May-Kan in Tokyo was on the verge of exploding. This was BABYMETAL’s first solo live performance, held at the Rock-May-Kan, which we had arrived at after the Osaka/Nagoya tour “Hedobang Pilgrimage!” held at Namba ROCKETS (Osaka) on July 7th and ell.SIZE (Aichi) on July 8th.
(NOTE: The Japanese name for the “Headbanger!!” song is spelled “Hedobangyaaaa!!”. Here, it’s written as “Hedoban行脚”, but it’s a pun because 行脚 is pronounced “angya”. So it’s pronounced the same as the song, though the meaning also means “Headbang Pilgrimage”.)
The Rock-May-Kan is a symbolic holy place of metal in Japan, where various legends were born. It’s been a gateway to success for previous generations of legendary bands. As a metal dance unit, BABYMETAL cannot ignore metal manners, so long as we claim the name of metal. Standing upon the stage of the Rock-May-Kan, I felt a sense of meaning; that BABYMETAL’s rise would begin here, and I was excited about the beginning of a new legend.
In retrospect, the “Headbanger!! Release Event” (daytime matinee show) and “Legend - Corset Festival” (nighttime party) were quite experimental. We used the coffins and corsets from the “Headbanger!!” music video, and the Marshall Tower of speakers piled on the stage. We paid symbolic metal homage in a way that would make those familiar with the original references grin.
This event was held for those that purchased the first edition of the “Headbanger!!” CD single, and the dress code rule was that fans had to wear the neck brace that came with that purchase in order to enter the venue. On the way down the hill from the train station to the venue, there was a bizarre scene of a line of people wearing neck braces, and at the entrance, the bone guardian created by the Fox God carefully conducted a security check that we called the “neck brace check”.
The venue was packed with fans that were lucky enough to be chosen by the Fox God, but the excitement of encountering the unknown entity known as BABYMETAL, combined with the fact that everyone was wearing a neck brace - which was truly unprecedented - raised the excitement level to the extreme.
The curtain finally opened on a new Legend, and the power of BABYMETAL’s metal was unleashed in the confined space of the Rock-May-Kan, blasting the audience at point-blank range. This encounter with a new form of metal triggered the audience’s initial impulsive response, swirling around the venue in a feverish state, as this frenzy returned to the stage as a wild wind, making the performance a rather challenging one for both the girls and the fans.
Looking back, there was a lot that was rough and unpolished, but the elements that would later become the core of BABYMETAL’s live performances were put into place, such as the story videos, and the Babybones that would perform together with them on stage.
“Are you ready to headbang?”
In the opening movie, the beginning of the performance was announced with a story, and when the stage curtains were drawn back, the girls kicked off the performance immediately as if running onto the stage, disappearing in a flash afterwards without an MC. After their departure, another story movie was played, announcing the next episode with a new story, and a preview.
BABYMETAL uses red, blue, and white as base colors for lighting. This has remained unchanged ever since the Rock-May-Kan.
Live music venues often use a mixture of various colors for analog lighting such as red, green, yellow, orange, pink, and so on. I think the aim is to increase the number of colors, and make things look as flashy as possible while using a minimum amount of equipment. But in my opinion, the lighting for BABYMETAL is more about subtraction than addition, and we emphasize creating surfaces rather than points, stripping it down. In the case of red, we create a crimson world with various layers of red. In addition to the number of colors, we’re also careful not to mix more than 3 colors at the same time. For example, if melody A (verse) is mostly red, melody B (bridge) will be mostly blue to create a different atmosphere, while the chorus will create a world that is all-white.
(Props from the “Headbanger!!” music video - speakers and coffin - on the stage of the Rock-May-Kan show)
I’m involved in all the music production for BABYMETAL, and it has been composed with live performances in mind from the very beginning, imagining the audience’s reaction. I have imagery of the lighting synchronized with the sound in my head. As time passed and we started playing in arenas, we received more support compared to live houses, with tools like lasers and lights becoming available to help build the atmosphere, as if drawing an architectural blueprint while creating models. I share the theme and image of each song with the team, telling them what I want to convey, or the image I’ve had in mind since the early stages of songwriting. These expert specialists then use this as a base to expand the ideas through their mastery. Through their work, sound and light are perfectly synchronized to create the world of BABYMETAL. This method has fundamentally never changed, whether it’s the Rock-May-Kan or Tokyo Dome. It’s not a task to be delegated to others, and we’ve never made an exception for this.
The first live performance at Rock-May-Kan became a testing ground for ideas that would become the core of BABYMETAL - but at the same time, it was also a tribute to the many metal legends that established the Japanese metal scene. Nowadays, I’ve heard that more and more female groups have been performing at the Rock-May-Kan where BABYMETAL held its first solo show, and this was the first Legend opening to be handed down to future generations.
「I、D、Z ~ LEGEND "I"」でスタートしたMETAL RESISTANCE
Metal Resistance started with “I, D, Z ~LEGEND “I””
「諸君、いよいよMETAL RESISTANCEの幕開けだ!」
メタルの神・キツネ様からのメッセージが告げられたのは、2012年10月6日、「I、D、Z ~LEGEND "I”」 Shibuya O-EAST。会場のスクリーンに、「紙芝居」と呼ばれるストーリームービーが映し出された。
「昨今、世界は巨大勢力“アイドル”の圧倒的な魔力によって支配され、「メディア」「政治」「経済」を含むすべてがアイドルに牛耳られていた....。アイドルソング以外の音楽はすべて有害とされ、“メタル”もその例外ではなかった。魂を奪われたメタラーたちは、メタルの復権を祈った。やがてその祈りはメタルを司る神“キツネ様”へと届くことになる。」
ある意味、この時にMETAL RESISTANCEの開幕宣言がなされたわけだが、この紙芝居と呼ばれるストーリームービーは、現在のBABYMETALのシアトリカルなライブを構成する大切な要素のひとつとなっている。
O-EASTに来場した方はご存じかもしれないが、会場内に常設のスクリーンが設置されているという恵まれた環境で、ライブハウスとしては珍しい会場であった。このストーリームービーによって語られるMETAL RESISTANCEの物語、そしてシアトリカルなライブスタイル。これらを形成する起源となった公演の会場にO-EASTが選ばれたのも、偶然の中の必然であったのかもしれない。
この場所でBABYMETALがやるなら?
ワタクシは、BABYMETALの本格的なワンマンライブの準備にあたって、さまざまな考えを巡らせていた。
「ありきたりのグループのライブでもなく、ありきたりのバンドのライブでもない、Only One なライブとは?」
まずは、LEGENDの舞台であるO-EASTについてお話ししよう。O-EASTには先ほども紹介した常設のスクリーンに加えて、メインステージの横にサブステージなるものがあった。いわゆるDJステージ的なものだが、シアトリカルな演出のためにこの部分もフル活用しようと考えた。
メインステージ、サブステージ、スクリーン、この三つのステージを使って三つのシーンを構成し、リアルなライブの空間とファンタジーのストーリーの世界を行ったり来たりするわけだ。
ライブの軸となるシーン構成は決まったわけだが、では具体的な中身はどうしようか? まず、オープニングはスクリーンを使ったストーリームービーによって、オーディエンスを BABYMETALの世界へ誘うことにした。
ディズニーランドのようなテーマパークに例えるならば、いざアトラクションに乗り込み、スタートする前の導入ムービーの演出のようなものだ。
ストーリームービーによって、このライブが開催されることになった経緯やBABYMETALおよびオーディエンスに課せられた使命が告げられ、同じ闘いに挑む同志としての一体感が会場内に生まれるのだ。
そしてこのストーリームービーはオープニングのみならず、ライブがスタートしたあとの曲間でも登場することになった。
この「I、D、Z ~LEGEND "I"」は、BABYMETALにとって初めての長丁場のワンマンライブであった。これまでは持ち曲も少なかったこともあり、あっという間に駆け抜けるスタイルでライブが進行していたが、今回は初披露曲や未発表曲なども控えていたため、ワンマンライブとしては十分なボリュームになっていた。同時に、BABYMETALは連続して激しいダンスパフォーマンスを行うこともあり、ライブ中に集中してエネルギーをチャージできる部分はほぼ皆無となった。
他のグループやバンドのライブでは、曲と曲の間のつなぎは MCと呼ばれるコーナーが入ることが多いと思うのだが、意外とこれがクセモノだったりする。
トイレ休憩などと呼ばれることもあるが、ステージ上に立っているアーティストにとっては決して休憩など一瞬たりともできないのである。
「次に歌う曲のエピソードですが.......」「今日こんなことがあって.......」絶えずオーディエンスからの視線を浴び、沈黙という恐怖におびえながら、何かしらアクションを続け、間をつなげなければならないという地獄の時間である。
ワタクシはこれをなんとか解消できないか?と考えた。
オーディエンスにとっても、せっかくオープニングで BABYMETALというファンタジーの世界に誘われ、BABYMETAL のマジックにかかったにもかかわらず、休憩のためにいったんテーマパークの外に出て駅まで戻り、休憩が終わったらまた再入場してウェルカムゲートからやり直す、なんてことはせっかくの夢から覚めてしまうし、非効率的に思えた。
であれば、MCではなくストーリームービーを導入することによって、テーマパークの外に出なくても場面転換が可能で、ライブに没入できるような仕掛けにしよう、という考えが生まれたのだ。
これがBABYMETALにおける紙芝居という概念が降臨した瞬間だ。
曲間のストーリームービーは、主に次に演奏する楽曲にまつわるストーリーを告げることが多い。ライブ全体の流れの中で、どうして次にその曲が披露されるのか? METAL RESISTANCE の中で、どうしてその曲が生まれたのか?など、内容はさまざまである。
オーディエンスはストーリームービーによってファンタジーの世界の中に身を置きながら、語られた物語の流れに沿うように再びリアルなライブへと移動することができる。メンバーはその間にエネルギーを蓄え、次のパフォーマンスに向けて牙を研ぐことができる。つまり一石二鳥なのである。
余談になるが、メンバー紹介というシステムもありきたりなものが多いと感じ、どうせなら曲の中に入れてしまえ!といって秒速で生まれたのが「BABYMETAL DEATH」である。
このころに、紙芝居で METAL RESISTANCE の始まりを宣言し、そこから「BABYMETAL DEATH」へとなだれ込み、オーディエンスを BABYMETAL の世界へ引き込む、そんなオープニングスタイルが生まれたのである。
「I、D、Z ~LEGEND"I"」は、メインステージ、サブステージ、スクリーン、この三つのステージを使い、前半戦と後半戦に分かれた 2部構成となっていた。前半戦は「ド・キ・ド・キ☆モーニング」のミュージックビデオから貢献していた骨バンドを従えて、ギミック満載のパフォーマンスからスタートした。「ド・キ・ド・キ☆モーニング」や「いいね!」のような当時の定番曲に加えて、ストーリームービーによる曲紹介からの流れで「おねだり大作戦」や「紅月 - アカツキ -」といった新曲も初披露された。
ライブは前半戦を経て、いよいよ後半戦に突入する、というクライマックスのシーンで、例のもうひとつのステージが現れることになる。
スクリーンでは次なる展開を予告するストーリー・ムービーが始まり、その内容は「キツネ様が BABYMETALにさらなる力を与えるため、メタルの神を降臨させる」というものであった。
それまで閉ざされていたサブステージのゲートがギシギシと音を鳴らしながら開かれ、「ヘドバンギャー!!」のミュージックビデオや目黒鹿鳴館のステージでも登場した巨大な棺桶がそびえ立ち、棺桶を挟むように骨の番人が仕えるというシチュエーションで、メタルの神の降臨を待ち受ける儀式が行われるのだ。
儀式の調べが流れると、棺桶の扉が開かれ、再びメンバーが登場する。伝説のコルセットに導かれるように、サブステージからメインステージへと向けて歩み出すその道のりは、このあと待ち受ける藤音の嵐の前の静けさのような緊張感が張り詰めていた。メインステージにたどり着くと、そこにはギターの神、ベースの神、ドラムの神からなるメタルの神バンドが降臨し、誰も見たことのない新たなLEGENDの誕生が目前に迫っていた。「ヘドバンギャー!!」の印象的なハープシコードのイントロを合図に、神バンドによる生演奏が爆音で鳴り響くと、新次元の BABYMETALへと昇華していく姿がリアルに感じられた。
キツネ様のもくろみ通り、BABYMETALが新たなメタルのパワーを手に入れた瞬間であった。
ちなみに、O-EASTの構造的にメインステージとサブステージは離れておりつながっておらず、かなりの距離を飛び越えない限りステージ間の移動は不可能であった。しかし、この降臨の儀式を行うため、この日のためだけに渡り廊下のような橋を作り、ステージ間の移動を可能にさせたのであった。
このあたりのこだわりが、BABYMETALのシアトリカルなライブ演出の原点となり、以降のライブで拡大していくのであった。目黒鹿鳴館で爆発した初期衝動を超えて、THE FOX GOD CREWに新たなメンバーも加わり、プロフェッショナルなチームとして動き出したBABYMETALは、トータルの世界観として、非日常性の精度を高めていたのだった。
このO-EASTから始まる「I、D、Z ~LEGEND」という3部作のライブシリーズには、BABYMETALのライブの原点となる要素が詰まっている。
他のアーティストであれば、初めてのワンマンライブが成功して勢いに乗ったところで、同じ内容のパッケージを持って東名阪ツアーのように横へ横へと広げていく展開になるのかもしれないが、BABYMETALの場合は物理的に活動できる時間が限られていたこともあり、一点集中型で上へ上へと広げていくのであった。
あらかじめ3部作ということを銘打ち、3公演ともに違う演出内容を披露したが、そこには一貫したストーリーが軸として横たわっており、一度見始めたら続きが見たくなる、そんな連続ドラマのような内容になっていた。BABYMETALのうわさはどんどんと全国へと広がっていき、うわさを聞きつけた者たちが各地から総本山へと集まってくるように、回を重ねるごとに会場の規模感を大きくしていった。
実際のところ、ライブビジネスとは、当日までふたを開けてみないとわからないことが多々ある。「○○公演決定!」とアナウンスして、いざチケットを発売してみても、チケットが売れるのかどうかわからない。そしてライブ当日になっても、「いったいどれくらいのお客さんが集まってくれるのだろうか?」「パフォーマンスはうまくいくだろうか?」「ビジネス的には黒字にできるのだろうか?」などなど、気が休まることはない。正直な話、何の保証もないのである。
普通であれば、石橋を叩いて渡るように、じっくりとステップアップを目指すのだろうが、改めて思い返すと、BABYMETALの降臨は永遠ではなく、限りがあったが故に、選択肢は一点集中、一点突破スタイルの一択のみだったと感じる。
そして、己の限界を超えるため、恐れずにBETする勇気、一歩踏み出す勇気を誰よりも強く持っていたということに尽きる。
ワンマンライブにしても、何をやるにしても、世の中やってみなければわからないことだらけだ。
しかし、リスクを恐れ、リスクをとらないと次はないのだから、それができるか否かの差は大きい。その中でも、BABYMETALはチャンスが巡ってきたのならチャレンジしようと常に BETしてきた。O-EASTは、その最初の BETだったのである。
楽曲「Road of Resistance」の中にも登場する「今日が明日を作るんだ」という歌詞は、まさに BABYMETALのストーリーそのものを歌っているのだ。
(Story movie at Legend “I”: “Ladies and gentlemen, the Metal Resistance is about to begin!”)
“Ladies and gentlemen, the Metal Resistance is about to begin!”
The message from the god of metal, the “Fox God” was delivered on October 6th, 2012, at “I, D, Z ~LEGEND “I”” Shibuya O-EAST. A story movie was projected on the screen at the venue.
“Recently, the world has come under the control of big power "Idols" with their overwhelming magic. "Media", "Politics", "the Economy", all came under their control… Music other than idol songs were seen as harmful, and metal was no exception. The metalheads who were robbed of their soul prayed for the restoration of metal. Before long, the prayers reached "the Fox God", who is in charge of metal.”
In a way, this was the opening declaration of Metal Resistance. Story movies have been one of the important elements that make up the theatrical live performance of BABYMETAL today.
Those familiar with O-EAST would know that it was a rare venue for a live music venue, with a permanent screen setup inside. The story of Metal Resistance was told through the movie, in a theatrical live style. It may have been an inevitability among the coincidences that O-EAST was chosen as the venue for a performance that formed the origin story.
(NOTE: the usage of “big power” idols may indicate that the story movie wasn’t referring to idols in general, but rather groups such as AKB48, SKE48, etc.)
What would BABYMETAL do in such a place?
There were a lot of thoughts in my mind as we prepared for BABYMETAL’s first full solo performance.
“What would an “Only One” concert look like? Not just another group concert, and not just another band concert?”
Let’s talk about O-EAST, the stage for the LEGEND show first. In addition to the permanent screen mentioned earlier, O-EAST has a sub-stage next to the main stage. We decided to make full use of this area for theatrical performance.
The three stages - main, sub-stage, and screen - were used to create three scenes, moving back and forth between the space of the real life performance and the world of a fantasy story.
(Legend “I” at Shibuya O-EAST)
After deciding upon the composition of the scenes that would form the core of the live show, what about the specifics? First of all, for the opening, we decided to invite the audience into the world of BABYMETAL with a story movie, using the screen.
If you were to compare it to a theme park like Disneyland, it would be like an introductory movie that you watch before the ride begins.
The movie explains the story for this live performance, and the mission assigned to BABYMETAL and its audience, creating a sense of unity in the venue, as comrades charging into battle side by side.
The story movies appeared not only before the show, but between songs as well.
Legend “I” was BABYMETAL’s first full-length solo show. In previous shows, we didn’t have many songs, so we performed them in a sprinting style. This time, there were songs making their debut, and previously unreleased songs, so we had enough material for a full live performance. At the same time, BABYMETAL conducts intense dance performances continuously, and there would be no natural point during a concert where they could pause to recharge their energy.
At live concerts for most other bands, there is a section called “MC” between songs, but this is a surprisingly peculiar thing.
It’s sometimes called a bathroom break, but an artist on stage can’t take a break, even for a minute.
“Here’s a story about the next song we’re going to sing…” or “So something happened to me today…”
It’s total hell to be up there between songs while the audience is constantly staring at you, and the silence is terrifying.
I wondered if there was something we could do about this?
It seemed rather inefficient to invite the audience into BABYMETAL’s fantasy world at the beginning of the show, and have them fall under a magical spell, only to exit the theme park for a break and start all over again from the entrance.
As such, the idea was to use story movies instead of a MC, so the audience wouldn’t need to leave the theme park as we changed scenes, and could stay immersed in the live performance.
So that’s how the concept behind BABYMETAL’s story movies was created.
The story movies often tell the story of the next song to be performed. How does the next song make sense in the overall flow of the concert? How did this song come to be, in context of Metal Resistance? The content of the movie varies.
The story movies placed the audience in a fantasy world, and guided them into the real life performance following the flow of the narrative. In the meantime, the girls could recharge their energy and sharpen their fangs in preparation for the next song. In other words, it killed two birds with one stone.
As a side note, I felt that the typical member introduction method was too conventional, so I decided to incorporate it into a song, which is where the idea for “BABYMETAL DEATH” was created.
Around this time, the opening style was to declare the beginning of Metal Resistance using a story movie, and then launch into “BABYMETAL DEATH” to draw the audience into this fantasy world.
Legend “I” consisted of two parts - the first and second half, using the three stages: main stage, sub-stage, and screen. The first half started with a gimmick-filled performance with the Babybones, who also featured in the music video for “Doki Doki ☆ Morning”. In addition to staple songs of the time “Doki Doki ☆ Morning” and “Iine!”, new songs such as “Onedari Daisakusen” and “Akatsuki” were performed for the first time, following story movies that introduced them.
(side stage gates at Legend “I” O-EAST)
At the conclusion of the first half, we began to approach the second half, and at the climax, a second stage emerged.
A story movie began on the screen, announcing that as the next stage of the event, “the Fox God has summoned the Gods of Metal to give BABYMETAL more power”.
The gates of the sub-stage, which had remained closed up until that point, opened with a creaking sound, and the massive coffins that had featured in the “Headbanger!!” music video and the Rock-May-Kan show appeared, flanked by the guardian of the bones, as a ceremony was held to welcome the arrival of the Gods of Metal.
As the ritualistic music played, the doors of the coffin opened, and the girls appeared once more. As if guided by the legendary neck brace, their journey from the sub-stage to the main stage was tense, like the calm before a storm awaiting them. Upon reaching the main stage, a metal god band consisting of the guitar gods, bass god, and drum god descended, and a new Legend that had never been seen before was born. The iconic harpsichord of “Headbanger!!” kicked off the explosive live performance by the Kami Band, and I could feel BABYMETAL’s rise into a new dimension.
It was at this moment that BABYMETAL received the new power of metal, just as according to the Fox God’s plan.
Incidentally, due to the structure of O-EAST, the main stage and the sub-stage weren’t connected to each other, and it was impossible to move between the stages without jumping a considerable distance. As such, in order to hold this ritual of descent, a corridor-like bridge was especially built for this occasion, making it possible to move between stages.
This kind of attention to detail was established early on in BABYMETAL’s theatrical live performances, expanded further in subsequent concerts. Beyond the initial impulse that exploded at Rock-May-Kan, BABYMETAL began work as a professional team, with the addition of new members in the Fox God Crew, making the worldview more extraordinary in its comprehensiveness through growing precision.
This three-part live series called “I, D, Z~LEGEND” beginning with O-EAST was full of elements that would become a springboard for BABYMETAL’s live shows to come.
In the case of other artists, once they have gained momentum from a successful first solo show, they might spread the same production laterally, like touring Tokyo, Nagoya, and Osaka using an identical show - but in the case of BABYMETAL, they had limited time to perform, so the strategy was to concentrate on a single point, and expand upward.
It was a trilogy, and each of the three performances featured a different production, but at its core was a consistent storyline, and once you started watching it, you wanted to see the whole story, like a drama series. To accommodate those who had come from all over the world to gather here in pursuit of rumors, we had to prepare larger-scale venues as this series of shows was performed.
In truth, when it comes to live concerts, there are many things you don’t know until the day of the show. Even if you announce a concert and put tickets on sale, you don’t know if they’ll sell or not. And even on the day of the concert, you wonder if many people will show up, if the performance will go well, if you’ll be able to make a profit, and so on. To be honest, nothing’s guaranteed.
Normally, I would have tried to take my time and build things up, like you might construct a stone bridge. But thinking back on it, I remember feeling that BABYMETAL wouldn’t be around forever, and because of this impermanence, the only choice was to focus 100% on one thing, one point at a time.
It all comes down to the fact that they had more courage than anyone else to go beyond their own limits, to bet on themselves without fear and take that next step.
No matter what you do, whether it’s a solo show or something else - there are many things in this world that you’ll never know until you try.
But if you don’t take a risky choice due to fear, you might not get another opportunity. Thus, whether or not you’re willing to take on risk makes a big difference. When faced with such decisions, BABYMETAL has always been willing to take on challenges if the opportunity presents itself. O-EAST was the first bet.
The lyrics in “Road of Resistance” saying “Tomorrow is created today”, describe the story of BABYMETAL.
2012年12月20日 「I、D、Z ~LEGEND"D"SU-METAL聖誕祭」(赤坂 BLITZ)
December 20th, 2012. “I, D, Z ~ LEGEND “D” SU-METAL Birthday Celebration” (Akasaka BLITZ)
「I、D、Z~LEGEND」3部作は、「I」から12月20日 「I、D、Z~ LEGEND "D" SU-METAL聖誕祭」(赤坂 BLITZ)へと続く。
前回のMETAL RESISTANCEの幕開けから、次なるストーリ ーへとつながっていくのだが、この公演は「紅の騎士」ことSUMETALの聖誕をテーマにした聖誕祭という内容も含まれていた。 演出としては、2階建ての舞台セットを初めて使用し、メンバーの登場の仕方やダンスのバリエーションなど、パフォーマンスや演出の幅も前回より格段に広がっていった。バックを務める骨バンドに加えてSISTERBONEと呼ばれるダンサーズも加わり、楽曲毎に登場する場所や位置が目まぐるしく変わり、前回よりも高度なパフォーマンスを要求されたはずだ。ワタクシなんかはひとつも覚えられないと思うのだが、一方のメンバーは幼いながらも難なくこなしている姿を見て、ステップアップするスピードの速さに驚いたものだ。
この日はメタルダンスユニットとしての真骨頂を発揮するような、全編骨バンドによるメタルトラックとダンスパフォーマンス がメインの構成で、「ヘドバンギャー!! -Night of 15 mix-」というリミックスバージョンやメタルアレンジのカバー曲の披露など、バリエーションに富んだ内容であった。「ダンスバージョンもバ ンドバージョンもどちらもBABYMETALである」と言わんばかりに、表現のバリエーションを次々と獲得していった。ミュージカル調に演出されたライブ終盤では、お迎えにきた天使のような役回りのYUIMETALとMOAMETALに見守られながら、神へと近づいたSU-METALが十字架にかけられ、吹き上がる炎とともに昇天してしまうという、衝撃のエンディングを迎えることとなる。メンバーのパフォーマンスも、このあたりからシアトリカルな演出に対しての表現力が増し、十分にBABYMETALの世界観を担っていく存在となっていった。現在のBABYMETALのライブでは、たくさんの炎があがるパイロの演出はおなじみだが、「赤坂BLITZであんなに炎を出したアーティストは初めてだ」と語られるくらい、 あのコンパクトな空間において強烈なインパクトを与えた。
The “I, D, Z~LEGEND” trilogy performance continued with Legend “D”, celebrating SU-METAL’s birthday (performed at Akasaka BLITZ).
Following the opening of Metal Resistance from the previous episode, we were led to the next story, and this performance included the theme of the SU-METAL’s birth, the “Crimson Knight”. This was the first time that a two-story stage set was used in one of our shows, and the range of performance and direction was much wider than before, including the way the girls appeared and the variations in dance. In addition to the Babybones, dancers called the “Sisterbones” joined in, and since their entrance positions and formation changed rapidly with each song, it required a more sophisticated performance compared to previous shows. I don’t think I could memorize even a single dance move, and in contrast, I was so astonished at the speed at which the girls stepped up, effortlessly performing despite their young age.
This performance was mainly composed of metal backtracks and dance performance, backed by the Babybones, showing the true essence of a metal dance unit, featuring “Headbanger!! Night of 15 Mix”, a remix of the song, and a cover song with a metal arrangement. It was quite varied. As if to say “both the dance version and live band version are BABYMETAL”, they acquired variations of expression one after another. At the end of the show, which was staged in a dramatic musical style, SU-METAL, who had come close to God, was crucified on a cross, and ascended in flames while being watched over by YUIMETAL and MOAMETAL who played the roles of angels who came to welcome her into heaven. From this point on, the girls’ performance became more and more expressive in a theatrical way, and they became the ones to fully play their roles in creating the BABYMETAL world view. Pyro performances with a lot of flames is a staple of current BABYMETAL live performances, but it made such a strong impact in a crowded space that people remarked, “I’ve never seen such huge flames in Akasaka BLITZ before”.
2013年2月1日 「I, D, Z LEGEND"Z"」 (Zepp Tokyo)
February 1st, 2013 “I, D, Z~LEGEND “Z”” (Zepp Tokyo)
2013年1月、3部作「I、D、Z ~LEGEND」シリーズのタイトルの頭文字にもなっている「イジメ、ダメ、ゼッタイ」をリリースすることになる。
「イジメ、ダメ、ゼッタイ」は結成初期から音源化はせずにライブのみで披露し、ライブのハイライト曲として温めてきた切り札的存在だったが、O-EASTから始まった修行の旅を経て、いよいよその全貌が明らかになる時が来たのだ。
このころには、のちの1stアルバムにも収録されることになるオリジナル楽曲がそろいはじめ、「I、D、Z~LEGEND "I"」のころと比べるとより一層BABYMETALとしてのスタイルが確立されてきたのだ。
2013年2月1日、3部作が完結する「I、D、Z~LEGEND"Z”」では、Zepp Tokyoに前回「D」のステージを踏襲した2階建ての舞台セットを組み、会場のサイズもより大きくなったことから、装飾や炎のパイロなどもパワーアップし、3部作の最終公演にふさわしいステージとなった。前回「D」の衝撃的なエンディングで、十字架にかけられ炎とともに昇天したSU-METALは、エモさが倍増したシアトリカルな演出によって「Z」のオープニングで再び登場することになる。ストーリームービーで新たな物語が始まると、その流れのままに2階ステージの下から、前回十字架にかけられたままの姿で登場したのだ。その姿はまさに神の再来のような荘厳な景色であった。このエモーショナルなオープニングから、間髪入れずに「イジメ、ダメ、ゼッタイ」につながり、ステージサイドからYUIMETALとMOAMETALが駆け込んでくる一連の流れは、一気に会場をヒートアップさせ、オーディエンスに火を付けるには十分過ぎる内容だった。
「イジメ、ダメ、ゼッタイ」は、当時「世直しメタル」というキャッチコピーがついていたが、凛とした女の子がジャンヌ・ダルクのように困難に立ち向かって戦うイメージがあった。楽曲とともにメンバーの衣装も、中世ヨーロッパの甲冑を連想させるバトルスーツへと変わり、シルバーを基調としたメタリックな質感がメタルが持つ強さとシンクロし、図らずもサウンドとビジュアルが一つになり、わかりやすさが増強されたのだった。
「Z」は3部作の集大成とも言え、「I」と「D」で培った経験から、BABYMETALのライブを確固たるものへと変えた。
「Z」のハイライトはオープニングだけでなく、後半戦にも隠されていた。
この公演が始まる前は、BABYMETALは限りある活動ゆえに、この「Z」をもっていったんその歩みを止めるかと思われていた。本編ラストを飾る「ヘドバンギャー!!」の演奏が終わると、スクリーンには BABYMETALの終焉に向けたカウントダウンが始まったのだ。オーディエンスがこの先の行方を案じ固唾をのんで見守る中、ついにカウントがゼロになると、BABYMETALのロゴはバラバラに砕け散り、すべては消え去ってしまったのだ。
「BABYMETALは終わってしまった」
しばらくの間、悲鳴を上げる者、放心状態となって言葉を失った者、状況が理解できない者、オーディエンスも戸惑いの表情を隠しきれなかった。
混沌とする中、かすかに聞こえてくる「We are!」という魂の叫び声に、オーディエンスが「BABYMETAL!と呼応すると、その声は次第に大きくなっていった。
今ではライブのエンディングとしておなじみの「We are!」 「BABYMETAL!」のスタイルはこの時に生まれたのであった。
魂の鼓動が息を吹き返し、バラバラに砕け散ったBABYMETALのロゴが少しずつ形を作り始めると、ゼロになっていたカウンターが再び時を刻み始めた。そして白装束に身を包み、生まれ変わった BABYMETAL が神バンドとともにステージに登場すると、「BABYMETAL DEATH」によって死の世界から生の世界へとタイムワープするように、再び METAL RESISTANCE の物語が動き出したのだ。
目黒鹿鳴館の熱量も相当なものであったが、「I、D、Z~ LEGEND」は BABYMETALの一点突破スタイルがビシッとハマり、「今、会えないアーティスト」のような、他のグループとは一線を画す絶滅危惧種のような存在感が生まれ、日に日に広がっていくのを感じた。当時の音楽シーンの中では決してメインストリームではない異端な存在であったかもしれないが、うわさを聞きつけた人たちがどんどん増えていくムードが漂っていた。BETした「I、D、Z ~ LEGEND」も、ふたを開けてみればチケットはすべてSOLD OUTとなり、準備したグッズもすべて売り切れてしまうなど、 BABYMETALという存在がMETAL RESISTANCE という物語の中で、数々のLEGEND を生み出しながら急速に拡大していくのであった。
In January of 2013, we released “Ijime, Dame, Zettai”, which shared the first letters of the trilogy “I, D, Z~LEGEND” series.
Since the early days, “Ijime, Dame, Zettai” had been performed exclusively at live shows using backtrack, and had been kept as a highlight song. But after a journey of training that had begun at O-EAST, it was finally time to reveal the full story.
By this time, the original songs that would later be included in the first album had started to come together, and compared to the time of Legend “I”, BABYMETAL’s style had become even more established.
On February 1, 2013, the trilogy came to a conclusion with “I, D, Z~LEGEND Z”. A two-story stage set was built at Zepp Tokyo in the style of the previous “D” stage, and the size of the venue was increased. The decorations and flaming pyrotechnics were even more powerful, making the stage quite suitable for the final performance of the trilogy. SU-METAL, who had been crucified and ascended in flames at the shocking ending of the previous “D” concert, appeared again at the opening of “Z” with a theatrical performance that was heightened emotionally. As the new story started through a story movie, SU-METAL appeared from the bottom of the stage on the second floor with the same appearance as the last time she was crucified. The sight was truly majestic, like the return of a God. From this emotional opening, we transitioned into “Ijime, Dame, Zettai” without pause, as YUIMETAL and MOAMETAL raced onto the stage from the sides, and this sequence of events was more than enough to heat up the venue and ignite the audience.
(Two-story stage at Legend “Z” Zepp Tokyo)
Back then, “Ijime, Dame, Zettai” had a catchphrase: “metal for a better world”, with the image of a dignified girl fighting against difficulties, like Jeanne d’Arc. The girls’ costumes changed to battle suits reminiscent of medieval European armor to fit the song, and the metallic silver-based texture synchronized with the strength of metal, uniting the sound and visuals, and strengthening clarity of meaning.
“Z” was the culmination of the trilogy, and the experience gained from “I” and “D” had solidified BABYMETAL’s live performances.
The highlights of “Z” weren’t just in the opening, but in the second half as well.
Before the show started, it was thought that BABYMETAL might disband after “Z”, due to the “limited time” structure. After the last song of the show “Headbanger!!”, a countdown for the end of BABYMETAL started on the screen. As the audience watched with bated breath, wondering what would happen next, the count finally reached zero, the BABYMETAL logo was shattered into pieces, and everything disappeared.
“BABYMETAL is over.”
For a while, the audience couldn’t hide their confused expressions; some screamed, some were lost for words, and others couldn’t understand what was going on.
In the midst of the chaos, a faint cry from the soul could be heard: “We are!”, to which the audience responded, “BABYMETAL!” in support, and the voices grew louder and louder.
The “We are!” “BABYMETAL!” ending that is now a familiar part of our concerts was born in this moment.
As the heartbeat of the soul came back to life, the BABYMETAL logo, which had been shattered into pieces, started to take shape little by little, and the counter that had been at zero started to tick again. And when the reborn BABYMETAL - now dressed in white - appeared on stage with the Kami Band, the story of Metal Resistance began to move once more like a time warp from the world of death to the world of life, with “BABYMETAL DEATH”.
The level of passion at Rock-May-Kan was impressive, but “I, D, Z~LEGEND” was a perfect example of BABYMETAL’s focused style, creating the presence of “an artist that you can’t see any time you want”, like an endangered species that’s distinct from other groups, that grows in presence day by day. We may have been an outlier in the music scene at the time - not mainstream by any definition, but the atmosphere was such that more and more people heard the rumors. We’d bet it all on “I, D, Z~LEGEND”, and all tickets and merch were sold out. BABYMETAL’s existence was rapidly expanding, while creating many Legends in the story of Metal Resistance.
(Legend Z)
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